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 連作短編かと思っていたらオムニバスだったことで少々肩透かしを。
 さらに推理小説新人賞受賞作ということでなにか挑戦的な仕掛けがされているのかな~……と気構えていたのですが、こちらも仕掛け自体にはとりたてて斬新さは無くて。
 ちうか、そもそも「推理小説」に類する作品だったのかな~……という思いがして。

 んー……。
 フワイダニットを「推理」すると言えば、そう言えなくもない……のかな??
 でも、今作はそうしたジャンルのくくりで見ることよりも、まずは単純に文芸作品として描かれる人間模様を楽しめば良いのかな~と思います、思いました。


 収録されている4編のどれもが親子や夫婦、恋人といった「ありきたり」な人間関係の中に一癖をスパイスとして詰め込んでいて。
 それが本来は普遍的で落ち着きを生むはずの関係に不安定さを生んで、好奇を起こすのですよね~。
 どちらかというとその感情は俗な部類に属してしまうのかもしれませんけれど、そんな通俗さって大衆文学には必要なものだと思う次第。
 読み手の人間性を操ることを意識していると思うので。



 収録作の中では書き下ろしの「渦潮ウーマン」がいちばん好き~。
 旅行先で不倫相手が死亡してしまってその事実から逃げようとするのだけれど、逃げ切れないとわかってから起こした行動によって思いがけず真実に直面するという。
 作中でも言われているのですけれど、この作品の主人公・由布子さんの思い切りの良さが気持ちいいのです。
 上司との不倫関係や、同期が壽退社していって最後まで残っている事実や、仕事に対しての将来的展望など、日々思い悩むことがたくさんありつつも、一度こうと決めたら覚悟が定まるところがステキ。

 そんな性格なので、ラストが湿っぽくなっていないのですよね~。
 ほかの3作はどれもが後ろ髪を引かれるっちうか良くも悪くも想いが残っている中で、この作品だけが後味スッキリで終わっているっちう。

 もちろん余韻を残した終わり方を見せているほかの3作も悪くないと思います。
 たとえば表題作の「竜巻ガール」などは、わずかな時間だけ肌を合わせた高校生男女の切なさが伝わってきますしー。
 身体を重ねても、ココロを重ねることに臆病になってしまったやりきれなさが、ね。
 表題にするだけのわかりやすいパンチがありました。



 推理ミステリの体としてみると物足りなさは否めませんでしたけれど、日常の中での人間関係へ向ける視線、視点、意識などにおいて非凡なものを感じました。
 これはほかの長編も読んでみたくなった~。
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