才能あるが故に悩んだり、努力することに苦しんだり。
未来へ向けて歩んでいる中学生弓道部員たちの青いお話。
物語の中心は2年生の男女3人なので、そこに中学生らしい甘酸っぱーな展開も差し込まれているのですがー。
そこに必要以上に肩入れしていなくて、むしろ本筋をきちんと「弓道」と「部活」に抑えておいてくれたことが好感。
もちろん中学生だからって恋を物語ってはいけないとは言いませんけれど、しかしそうした想いよりも部活動に生活の中心を置くというのもまた中学生らしいなぁ……と思うのですよ!
朝練とか放課後の活動に夢中になって、試合の結果に仲間たちと喜んだり悲しんだりする時間。
高校生になるともう少し人間関係が複雑になって違ってくるのでしょうが、そんな複雑なことにまだ振り回され「過ぎない」年頃の純真さが気持ちいいです。
そんなに長くないお話なのに、出てくるキャラがみな際立っているトコロがスゴイ!
それも主人公たち周りだけでなく、先輩も、そして他校のライバルたちもみんなキャラが立ってるわ~。
キャラが立つってどういうことなのか考えてみるのですが、今作においては二面性なのかなーと。
才能ある人はその才能ゆえに傲慢になるけれど繊細で、努力をする人間は才能を努力で補おうとするけれどその遅い歩みに焦ってみたり。
立派な武道者に見えた先輩も、実は限界を感じていて別の道を差がしていたり。
ライバル校の生徒だって嫌味を言ってきても本音の部分ではライバルとして戦うことを喜んでいたり。
一見すると記号化された立ち位置なのですが、そこに隠された心情があるために単純化されないのですよね~。
設定だけでない人間味といいますかー。
なかでも図らずも弓道部顧問となってしまった先生にジワリときてしまったわ~。
本当はサッカー部顧問になりたかったけどダメだったので仕方なく……なんて最初は言っていたのに、みんなと同じ時間を過ごしていく中できちんと先生は先生なりの任を果たしているという。
素人だから技術的にどうとか弓道の心とかは説けないまでも、素人であることを自覚して素人ならではの目線で先生も「仲間」になろうとしていただなんて……。
あんた、いい先生や~(T▽T)。
不器用でも真剣に取り組む姿勢があればきっと道は拓けるし、歩みを止めなければ仲間は必ずできる。
そんな嬉しい教えが今作には流れています。
アプローチは各人異なっていても、ひとつのことを共有し共感し、共に目指していくことはとても素晴らしい物語なのだと。
素敵な物語でした。

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