本やアニメの感想と、日々のつれづれなることを~。
プロフィール

鈴森はる香

Author:鈴森はる香
独断やら偏見やら、感想と妄想が入り交じるサイトです。
Twitter

最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
リンク
カテゴリー
月別アーカイブ
ブログ内検索

RSSフィード
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
 成風堂という書店で発生したり持ち込まれたりする事件を、書店員の杏子さんとアルバイトの多絵ちゃんが解決していく日常ミステリ。
 事件の方向性が舞台である「書店」にからんだものであるという特異性が目を引きます。
 最近ではネット書店を利用する人も多くなりましたからリアル書店とは足が遠くなってしまっているかもしれませんが、やはり本好きとしては書店はなじみ深いところですし、舞台設定としては読み手へ働きかける親和性や共感性は高いものだな~と思いました。

 わたし自身、書店でアルバイトした経験があるので、店員さんたちの描写に弱くないシンパシーを得てしまいましたことよ(笑)。
 いわく「書店員は必ずしも読書家ではない」「書店員には本に囲まれて働きたい人が多いので時給にはこだわらない」「お客さんはかなりいい加減な記憶で本をさがしてもらおうとする」……etc。
 やっばぁ……。
 思い当たる点がありすぎだわ(^_^;)。

 作家センセが本を上梓するからといってその本を取り扱う書店のことを知っているとは限りませんでしょうけれど(書店員≠読書家の例に同じく)、しかし大崎センセは書店のことを知っておられるのだなぁ……と。
 それが調べてのことなのか、体験されたことなのかは不明ですけれども。


 でもって事件の内容がとても興味深いです。
 訪れたお客さんから本にまつわる相談を受けていくうちに、やがてその捜索の裏側に隠されていた重大事件が浮かび上がってくるっちう。
 この世に起こる出来事で意味の無いことなど無い……とは聞きますけれど、「本」から始まるできごとがよもや社会的な事件までつながっていくとは。
 大崎センセの想像力には敬意を表します。


 ただ「本」→「事件」のつながりや意味を付与する段までは巧みなのですけれど、真相とされた事件解決となると途端に薄味であっさりと片付けてしまう部分はやや物足りなさを覚えたりもしました。
 あるいは終盤の展開がバタバタと駆け足気味になってしまっていて、説明はされるのですけれどそれが十分には足りていないように思うのです。

 おそらくトリックやギミックが明らかになる部分のカタルシスを最重要にとらえて、事件解決そのものは重視していない作り方なのだなぁ……と。

 どこに物語としてのカタルシスを置くかは作風だと思いますし、これはこれで十分であるのかもしれません。
 あくまで好みの差かなー。
 むしろ大崎センセの手法のほうが「推理ミステリ」としてはスッキリしているのかも。
 「解けた!」という部分から受けるカタルシスが大きいので。
 全体の構成が短編連作なので、形式としては最適なのかもしれませんしー。



 しっかり者の正社員である杏子さんと、おっとりしていながら切れ者の多絵ちゃんの関係もステキです。
 多絵ちゃんはアルバイトのために常に書店にいるとは限らず、その間は杏子さんが情報収集をはじめとする舞台進行役を務めているところなど、まさに動かない探偵と走り回る助手の姿そのものです(笑)。

 珍しいのは助手の杏子さんのほうが正社員であるため、身分的に探偵である多絵ちゃんへ命令できるという点でしょうか。
 「経費削減に努める指示が出されたおり、貴重な包装紙三枚を無駄にしてしまったことを店長にうまくとりなしてあげる」ことを取引材料に謎に挑む多絵ちゃんなど、立場の違いを巧みに展開へ活かしているなぁ~……という印象を。

 ヒロさんほかのアルバイトや社員さんたちも悪い人がいない成風堂は、とても居心地良い書店だと思わされます。

 次なる事件も楽しみながら読み進めて行けそうです。


スポンサーサイト
<< 「高校生」らしさを最後まで失わなかった、描ききった『しゃにむにGO』 // HOME // サンクリ再開について思うこと >>

管理者にだけ表示を許可する
この記事のトラックバックURL
http://maturiya.blog107.fc2.com/tb.php/883-fca89383
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
// HOME //
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。