本やアニメの感想と、日々のつれづれなることを~。
プロフィール

鈴森はる香

Author:鈴森はる香
独断やら偏見やら、感想と妄想が入り交じるサイトです。
Twitter

最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
リンク
カテゴリー
月別アーカイブ
ブログ内検索

RSSフィード
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
 発売当時の書店売りのときはオビがついて「最大の伏線は本を開く読者の目の前に!」ってコピーが入ったのでしょうか?
 種明かしをされたときに眺めてみて、はーなるほどー……とは思ったのですけれど、しかしそれほど大きな伏線というものでもなかったような。
 トリックというかガジェットのひとつではあったけれども、その仕掛けが事件に対して強く機能していたとは思えないので。
 もちろん、いくつかある伏線のひとつ……と考えれば十分に遊び心のある仕掛けだったと思います。


 連作短編という形式なので、それぞれにネタやトリック、ガジェットが仕込まれていた、そのアイディアの数でまずは評価できるかなーと。
 日常ミステリの類なので大きく現実から乖離していてもいけませんし、生活の中に事件とトリックを巧みに埋め込んでいるなーという印象。

 児童養護施設という舞台は悲しいかな一般の人には特別なモノとなってしまいますけれど、しかしそうした特異な場所であることを物語のなかでは巧く活かして進められていました。
 特異な場所ではあるのですけれど、そこでの生活描写は「生きる」という観点からとても生活臭溢れるものであったように思うのです。
 食べて寝て……という過ごし方が生活のみにあらずで、生きるということは日々様々なことを考えて思いながらいるのだなぁ、と。


 それぞれの短編が最後にひとつになって明らかにされる真実の爽快感もお見事。
 その仕無ければ作品の魅力は大きく減じていたと思いますし、そもそも作品の体を成していなかったかも。
 しかしそれだけ重要な仕掛けであるにも関わらず、その存在を終盤まで隠匿し続けたテクニックが絶妙だわ。

 途中、やけにスムーズに進むなぁ……と思わなくもない部分があるにはあったので、読み進めるぶんには「なにか変だな」と意識させもしてくれましたし、最後に明らかにする仕掛けは決してお飾り的な辻褄合わせでは無いと思います。
 個々の短編を著すときにも常に最後へ集約させることを意識されていたと思いますし、不自然さを大きく感じさせることなく進行を采配することは全体への構成力の高さを感じました。



 子どもの世界に起こった怪事件を大人の視線で解き明かすことは、ときには厳しくて汚らしい現実を暴くことになるのかもしれません。
 しかしそこに敢えて向き合って、真剣に生きている人たちを妥協することなく描いた七河センセ。
 これからも逃げること無い真摯な作風を続けていってほしいです。


スポンサーサイト
<< ヴィートいいよねぇ、ヴィート…… // HOME // なぜ『TTT』は23時放送なのか……忘れそうだったわ! >>

管理者にだけ表示を許可する
この記事のトラックバックURL
http://maturiya.blog107.fc2.com/tb.php/808-594f2146
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
// HOME //
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。