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 『死因不明社会』で自著を紹介されていた海堂センセの言葉によれば、今作は「チーム・バチスタ」に始まる一連のシリーズの環から外れた気楽な独立作とのことだったようにおぼえているのですけれどもー。
 それ、大嘘ですから――っ!
 なるほどたしかに「気楽に読める」作品ではありましたけれど、シリーズから独立しているなんてとんでもない!
 むしろ今作の妙味はシリーズを手にして始めて感じられるものなのでは?

 あの歌姫、ナイチンゲールこと浜田小夜さんがっっっっ!!!(≧△≦)

 本文そっちのけで彼女の登場にテンション上がりまくりでしたよ~。
 舞台も舞台で相変わらず桜宮市ですし、これはもうシリーズとして見るべきだと思う次第。
 「あの」小夜さんが、このように軽妙なミステリに登場することにささやかな、だけれどもたしかな幸福感をおぼえるのです。
 何でも屋っぽいサービス業を営んでいるとか、ミステリの根底を揺るがすようなトリックスターには違いないのですけれど、それは今作を単体のミステリと読んだ場合。
 彼女が何故そうした立場にいるのか、なにを思って歌を歌い続けているのか、それを思うと感慨深いものがあるのですよ~(TДT)。


 理系ミステリとしても平易でわかりやすい文章に努めている意識を感じます。
 文系ミステリは場合によって実現困難な状況すら絶対のものとして描きがちな気がするのですけれど、理系ミステリを意識されるかたはまず「現実の絶対」の上に立脚したところへ状況を落とし込んでくるような。
 演繹と帰納の違いなのかもですけれど。

 こうした「現実の絶対」にあたる部分をデータとしてだけでなく、意味をかみ砕いて言葉にしていただけると、非常に面白いミステリになると主張したく。
 海堂センセはお医者様ですから、患者さんへ理解してもらえるような言葉遣いを意識されている……とか?

 銀河の片隅で生まれた恒星は、長い輝きを経てやがて、超新星としてその生涯を終える。その飛散した物質により第二世代の星々が生成される。その第一世代の恒星の溶鉱炉の圧力の下で、生まれた金が土壌に含まれたとのだ、と言われている。
 つまり、金は、星の忘れ形見なのだ。

 かーっこいー!(≧▽≦)
 冒頭で語られたこの一文で、ハートわしづかみ!
 キュンときたね、キュンと!(笑)

 星々の物語とは今作は関係なかったのですけれど、折に触れて「金」という物資にまつわる特別な事情が顔を覗かせてくる点が興味深くて。
 それはもう「金」という物質の前には絶対的な数値のこと。
 物語に都合の良い物質を創り上げるのではなく、誰もが知っている、そして詳しくは知らない存在に着目して物語を繰り広げる。
 そうしたところにセンセの力量を感じるのです。
 設定厨には絶対に辿り着けない高みだと思うのです。


 もちろん二転三転していく展開も絶妙!
 まさに成功と落とし穴の連続。
 「抱腹絶倒のジェットコースター・ノベル!」とのコピーに偽りなしだわ(^-^)。
 先へ先へと引っ張られれる勢いがある~。

 でもってラスト、結び方が素敵。
 なんちうか、これだけ広げた風呂敷を見事にまとめ、しかも落ち着くべきトコロへ物語を収めるセンスには脱帽デス。
 ブラボー!(≧▽≦)



 ……やぱしねぇ、物書きたるや「物語」を閉じて、初めて評価される存在なのかなーと。
 いつまでも長く同一シリーズを書き続けても、最終的な評価は保留……とまでは言わないけれど仮採点でしかないのかなー、って。
 海堂センセの作品などを読んでいると、長期シリーズに至る作品って安易な手法に頼ってはいまいかと疑ってしまうわ。
 「シリーズだから面白い」ということと「シリーズでなければ面白くない」というのは違うと思うのですよね。



 だれか海堂センセの桜宮市の作品群をまとめて解説してくれないかなー。
 年表とキャラ表は、マジで欲しいです(^-^:)。


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