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 山間に走る線路を守る保線士と、父の手駒とされる自分に不満をもったお嬢様が出会い、互いに影響を受けながらいまの自分の生き方を見直すお話。

 んんん……ん???
 もったいないなーって読後すぐには思ったのですけれど、こういう描き方こそがメディアワークス文庫の方向性なのかなーって、いまは思えたりもします。
 確実な答えのない描き方っちうか。
 ……もっとも、そう皮肉めいて捉えるのは、わたしの斜めな一般文芸作品観によるものでありましょうが(^_^;)。


 商家に育てられたお嬢様が政略結婚に納得いかない気持ちを抱えたまま四十男の保線士と出会ってほのかな恋心を宿していって──って、あらま古典的ねーってカンジ。
 抱えていた事情も事情ですし、さらに窮地にあっての出会いというのもありますし、どうにもこの恋「つりばし効果」が高いような気がしてなりませんでしたが。
 なにしろ熱を上げるのはお嬢様のほうばかりで、保線士のほうは彼女に対してそういった目で見たようなトコロが少ないように思えたのですよー。

 男やもめ、お嬢様をそういう目で全く見なかったとまでは言いませんが、保線士の側からすると彼女を彼女個人として見ていたのか疑問。
 彼女を通して遥か昔(ってほど経っていませんけど)に死別した亡き妻への想いを確かめていたような……。


 それでも少女の側は保線士の姿を通して社会に生きるということを学び取り、保線士の側は少女の輝く気性に現実と向き合う心構えを得ていましたし、なにか結ばれるようなカタチではなくてもこの出会いには意味があったのだなーって思わせる物語でした。

 脇を固める人たちやふたりの行く末など、どうにも「今後」を意識させる演出が散見されましたが、これって投稿作ならではの未熟な野心なのかなー。
 今作の中で描けるはずのない部分までに言及しているので、そういった部分には冗長だと感じずにはいられなかったのですよー。
 そうした部分で世界を広げるより、もっと主人公格のふたりを掘り下げていったほうが良かったんじゃないかなーって思いますけど……。



 やぱし、わたしの感性では「もったいない」作品だったかな、と。
 でも別の視点から捉えれば、メディアワークス文庫の方向性に真面目だった作品なのではないかなーと感じます。
 なるほど、たしかに「ずっと面白い小説を読み続けたい大人たちへ」というキャッチに沿いつつ、ラノベを軽く卒業した世代へ向ける展開でした。


 余談ですけれど、この表紙はすごく気に入りました。
 山間を舞台にした作中との関係性は薄いですけれど、「作品」との関係性は高く表現されていると思うのです。
 一本の線路の存在感っちうかー。

 その表現具合を書店ではオビで隠されてしまうのですよねー。
 うーん……。
 どうにかならなかったものか……。
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