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 すごい……。
 2度読んでみても、この人がリアルだと思えないくらいにドラマティック。

 日本に初めてバチスタ手術をもたらした外科医の「医師としての成長」を追ったノンフィクション。
 なぜ医師を目指すことになったのか、から始まり、医師としてなにを最良として目指しているのか、困難にあたったときの判断基準やいまあ追い求めていることなど、「外科医 須磨久義」のひととなりが収められた作品。


 海堂センセは言わずとしれた『チーム・バチスタの栄光』の著者であり、作品でバチスタ手術を施術する医師のモデルが須磨先生だったそうな。
 そんな海堂センセの視点から見た須磨先生の姿という形式なのですがー。
 実のトコロ、おふたりのあいだに面識と呼べるものはそれほどなかったそうで。

 それゆえか今作での描き方も、知人という間からでの親しさや馴れ合いが感じられず、海堂センセ視点での主観や第三者としての客観に拠った描き方がされているように感じられてそれがまた須磨先生の姿を浮かび上がらせることに説得力を持っているように思います。
 中立性というか。


 いや、それにしても向かうところ向かうところで困難にぶちあたり、簡単ではない選択を選んでいく姿は、もうリアルとは思えないくらい。
 これが事実は小説よりも奇なりというヤツですか!?
 クリエイターはこのリアルを越えていかなければならないのですか!!(><)
 そんな幻想、ぶちこわして(ry


 でもなぁ……。
 時代時代において何かを成し遂げる、名を残すというのは、そういう選択をし続けたからなんですよねぇ。
 安定と安全を求めていたら進歩は無いか、あっても遅いかですし。
 それでは時間の流れに埋もれてしまうワケで。

 もちろん海堂センセも安定と安全を求める生き方を否定しているワケではないのですよね。
 そういう生き方もあると是としているのですし。

 ただ。

 その道を選択するとき、個人にどういう信条があるのかどうかを問うているだけで。

 須磨先生は「医師として助けられない人がいることに不満を持ち、あるいは救うことができるかもしれないのに躊躇うことを是としない」信条があったから動いたというだけなんですよね。
 だからその選択がブレない。

 そもそも「困難だから」という理由は選択において考慮されないのですよね。
 損得勘定ではない、効率でもない、医師の道、患者のためを思う気持ちが選ばせているだけで。



 で、そうした須磨先生個人だけではドラマにならなくて。
 先生の周囲を固める人物たちの個性もまた強烈!

 このままの成績では現役で医学部合格が不可能と思われた高校三年の夏。
 家庭の事情により必ず現役で合格しなければならない先生が取った選択とは!


 須磨は高校に出向いて教師たちに尋ねた。
「僕はこれから医学部を受けるつもりですけれど、もしも先生方の授業を全部受けて、試験で百点をとったら医学部へ行けますか」
 教師たちは「絶対に無理だ」と答える。すかさず須磨は「それなら先生の授業を聴かずに自分で勉強したいので、明日から学校へ来なくてもいいですか」と尋ねた。
 驚いたことに教師たちは、あっさり須磨の申し出をOKしてしまう。


 須磨先生も先生ですけど、教師も教師!(><)

 もちろんこの選択がベストだとはわたしも思いません。
 教師のかたがたにも学校の規律を保ち、卒業していく生徒に一定の成績を社会へ保証する責任がありますし。
 それでもこの選択を許すなにかが須磨先生にはあって、その運命?宿命?を教師のかたがたも感じ取ったのではないかと思うのです。
 もし結果が芳しいモノではなくても、選んだ意味を残せる人間だと保証されたのではないかと。


 次いで海外での評価を確固たるモノにしていた頃、バチスタ手術を目にして衝撃を受け、栄光を捨てても日本に帰国しようと決意したとき!


 須磨は隣に座っていた妻に向かって「帰るよ」とひとこと告げた。妻はローマを気に入っていたので、思わず「ええ?」と声を上げた。だがすぐその後で、
「もう決めたんでしょ。それじゃあ帰りましょう」
 と答えた。


 奥さ――んっっっ!!!(≧▽≦)
 格好良すぎる――っっっ!!!!

 これもべつに「旦那の言うことに妻は従うべき」というものではないのです。
 須磨先生は常に「選択するときは自分ひとりで決めるべき」という信条を持っていて、その生き方を奥さんも肯定しているという姿が美しいのです。

 須磨先生はもちろんヒーローだけれど、奥さんも間違いなくヒロインだわ!


 選択において他人に相談するということは、自分では気付かなかった見落としを検証するだけにするべきなのだそうで。
 誰かに背中を押してもらうためではなくて。
 そうでなければ選択に責任が持てなくなりますし、失敗したときに必ず後悔をするのだそうで。


 そしていよいよ日本で初のバチスタ手術を行うときが!
 規制の壁、未知の術式への不安、患者への責任、保守派の冷笑。
 さまざまな困難がそこにはあっても須磨先生は乗り越えていくワケで!
 ひとりでは難しいことでも、それまでの先生の生き方が培った絆がそれを支えてくれてくることに涙!(T▽T)


 スタッフの気持ちを要約すれば、こうだった。
「難しい話はようわからんけど、最終的には先生を信頼するかしないかの話だ。我々は須磨先生を信じる。だから先生がやったほうがいいと思うんだったらやればいい」


 ぎゃーっ!(≧△≦)
 熱い、熱すぎるよーっ!!!!

 ここは今作でもホント、クライマックスで、さすがの須磨先生も絶望の縁に立たされるのですが。
 そこからの反転、大逆転劇がエキサイティングで!
 こんな気持ちのV字回復こそが、クライマックスの描き方だなぁ……と感心しきり(リアルですけど!!)。



 もー、ホントにこれがリアルだっていうんですから脱帽です。
 真実を追い求める人の姿は、きっと、すべからくドラマなんですねぇ……。

 こういうリアルがあるとクリエイターには高いハードルになってしまいますが。
 最後に、そうしたクリエイターの人へも持っていて欲しい志を示された須磨先生のお言葉を幾つか抜き出しておきます。
 もちろん、クリエイター以外の全ての人へ持っていて欲しい志です。


「人が自分をどう思っているとか、ひそひそ話の中身みたいな小さな問題よりもはるかに、自分が自分の行為をどう思うかの方が大切です。たどりついたゴールが、本当に最初に目指していたゴールかどうか。そうした問いに対する回答がイエスなら、あとは、まあそこそこ、どうでもいいのではないでしょうか」


 この言葉を受け止めて生きていきたいです。
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