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 かつて心に傷を負い、大人になったいまもその過去に責められている男女が出会う物語。


 上手くできた物語だなー……ってのが正直なトコロかなー。
 面白くなくはないし、むしろ面白いって言っても良いんですけれど、その始まりたる位置の設定が気になるっちうか鼻につくっちうか。
 作りすぎなんじゃない?って。


 とにかく「一般人」たる立場の人が居ないのですよね、ストーリーテラーに。
 みんな傷を負っているし、どこか壊れている。
 物語は真っ当に進むのですけれど、スタートにそうした特異な設定が必ずあるために、物語の価値そのものが設定に依存しすぎてしまっているような気がするんですよー。
 設定ありきの物語、っちうか。


 もちろんフィクションのお話を作るにあたっては特異な設定を用意するのは当然です。
 でも、それにばかり寄りかかっては安易なのではないかなーって。
 反面、それだけのことを用意したのだからドラマティックであるには違い無いのです、けど……。


 んー……。
 良し悪しではなく、方法論への好き嫌い……かなぁ。
 少なくとも、この1作だけで綾崎センセの絶対的な評価をするのは、わたしには難しいなぁ。


 そうした物語の起点たる設定にも、どことなく偏りがあるのが気になります。
 簡単に言えば、女子のそれが男子に比べて重いのです。
 逆に男子のそれは精神的すぎて甘えた部分もカンジるっちうか。
 そして女子のそれにあたっては「不妊」というキーワードが重なりすぎていて、もしかしたらこれは綾崎センセの人生観に由るものなのかなぁ……とか思ったりして。
 「子ども」=「倖せ」みたいな。

 これが「女性の倖せは出産である」みたいな感覚だったりしたら危ういものを感じますけど、これもまたこの1作だけでは不明な部分であるワケで。



 物語という調理法に比べて、設定という食材には良いものを「集めすぎた」カンジ。
 しかし調理法自体は間違ったものではないので、できあがった料理が美味しいのもわかるわかる……という感想、かなー。
 次回作へ期待するのはこのあたりのバランスかな、わたしは。
 とにかく次の作品が気になるセンセではあります。
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 学校では目立たない存在の女の子にはマジシャンとして活躍する別の姿が。
 その姿に見惚れた男の子。しかし一目惚れは外見のみから発展した感情で、決して恋などではないかもしれないと気持ちを疑いつつ、その気持ちが本当に恋なのか確かめていく物語。
 あとミステリー(おい)。


 無口な女の子マジシャンが探偵役で、マジックのタネにからめて推理を披露していく次第。
 主人公の男の子とはと言えば、その聞き手。
 別に男の子の情報収集活動でなにか事態が大きく展開を見せるワケでも無し、実際的には女の子は初期状況を聞いただけで事件のあらましをイメージできてしまっているのですよねー。


 まぁ、しかし。
 この男の子の実体がわたしには好ましいものではなかったので、この恋、応援する気にはならなかったなー。

 先述のように男の子が推理において活躍するということはなくて、ただただ女の子に期待しているだけ……というのもありますが。
 それ以外に、女の子が某かの理由を持った上で技術や推理を披露することを惜しんだ場面で彼は「けちくさいこといわないでさ」と言うんですよ?
 惚れた女の子相手に「けちくさい」って──っっっっ!!!!!
 しかも2度も!(`Д´)


 あのね、これは主人公のスタンスだけに限らないと思うのですよ。
 1度であれば文学的修辞を考慮して記したのかもしれないと疑いますが、2度も語句を用いるということは相沢センセのなかで「けちくさい」という言葉が常用化されているのではないかという部分を疑うのです。

 わたしは……「けちくさい」という言葉を使うことに対して、心理的ハードルがあります。

 このあたりは極めて個人的な信条の違いで、しかもわたしのほうが偏屈なのかもしれません。
 でも、それも含めて作品全体から乱暴で卑しい雰囲気を受け取ってしまってもいるのです。
 それは選評において笠井潔センセが述べられていることに要約されているような気がします。


 作者は登場人物それぞれや、さらに主人公にもあれこれと「悩ませる」のだが、作者自身は妙に余裕ありげで、さほど悩んでいるようには感じられない。この程度に設定しておけば、悩んでいることになるだろう、悩んでいる人物として読者に通用するはずだろうという判断の常識性が気になる。「不完全な世界」をめぐるヨブ風の問いもケーキのトッピング程度にしか扱われていないし、イジメや進路の迷いなどのアイデンティティ問題も「いま」風の素材に過ぎない。(中略)この時代を生きることへの作者の態度に疑問がある。米澤穂信の「古典部」や「小市民」シリーズに含まれる「苦さ」のようなものが、この作品には欠けている。


 最後の一文があったから同意したのではなくてよ?(^_^;)
 なんちうか、甘く見られているのかな、読者を……というカンジ。
 日常の謎にしても学園恋愛ミステリにしても。





 ベタ甘ラブの有川センセ、本領発揮!(笑)
 さしずめ今作のジャンルは「リアル落ち物系女の子バージョン」。
 でもってキャッチは「男の子の前に美少女が落ちてくるなら女の子の前にもイケメンが落ちてきて何が悪い!」でしょうか(笑)。
 この「何が悪い!」と開き直ったときの有川センセは強いですね、ホント(´Д`)。


 と言う次第で、植え込みに落ちていた男の子を拾ったら、その男の子に胃袋をわしづかみにされた女の子のお話(えー?)。
 いや、でも、見てくれがどうとか出会いがどうとかよりも、絶対に食事に関するエピソードのほうが華やいでいたって!(≧△≦)
 それも料理モノとは違って、タイトル通りに山野草を摘んでそれを料っていただきますをする流れが秀逸。

 休日に散歩をしながら見つけた野草を楽しそうに摘む姿がね~v

 でもって見てくれはあまりよろしくない野草を食したときの意外さに驚いたりとか、野草として高名であるところに憧れを持っていたのにいざ食してみると大して美味しくないことに凹んだりとか、挑戦と結果がテンポ良く流れていくのですよね~。

 初出が携帯小説サイトで、そこでのテーマが「女の子と旅と冒険」だったそうで。
 なるほど~。
 たしかにこのテンポの良さはクエストをこなしていくRPGみたいでした(^-^)。



 そして忘れてはならないのがLOVE方面ですよねー、ですよねー(≧▽≦)。
 出会いの非日常性はあっても、なるべくしてそういう関係になったなー、と。
 気配り抜群のオトコノコと感受性豊かなオンナノコのあいだで育まれる愛情っていいものですわ~。

 ……20代半ばも過ぎた男女をオトコノコ・オンナノコ言うのもどうかとは思いますがー(´Д`)。


 当初はルームシェアしているだけの間柄であっても、それが意識し合う仲へと変化するには時間がかからなくて。
 でも、ルームシェアしているだけの友人という「契約」があるから、そこからなかなか先へと進めないもどかしさが、物語のキーになっているなぁ……と。
 やぱし制約があってもこそ盛り上がるものです!(笑)


 しかしそんな制約のある気持ちについて、ゆっくりと解きほぐすように進めていく有川センセの筆致が、もうねもうねっ!(≧▽≦)
 このペース配分がたまらない~~~!!!



 ちょっとした専門性に絡めた恋愛スタイル。
 有川センセの魅力って、そーゆーところなのかなぁ……と思います。




 自分の死でもって時間を「セーブ」した位置までさかのぼれる少年が、恩にきている部活の先輩のためにひと肌脱ぐお話。
 いや、ひと肌脱ぐってモンじゃなくて、先輩の実家に予言を与えたという「自分と同じ時間をさかのぼれる能力者」と繰り広げる知能戦なのですよねー。

 主人公の能力はもう読み手に明らかになっている中で、続編ではどう展開していくのか、同じギミックは使えないことをどう克服していくのか興味があったのですが――。
 うむ、こうきたか!ってカンジ。
 能力があることを前提として、先達と後進の裏のかきあい探り合いが緊迫感あって。


 主人公の特殊能力も、自動発揮される仕様ではないあたりも良いカンジ。
 能力の行使には主人公の挫折と後悔が必要なんですよねー。
 「これではダメだったんだ……」といった。
 そこでセーブ時間まで戻ってやり直すという描き方は読み手の側にも再推理を促すようで面白い感覚を味わってます。

 しかもその能力を「便利に使うことを良しとしない」矜持で縛っているあたりも◎。
 能力に頼り切るのではなく、とにかく自分の身体で真相に迫ることを第一としているという。


 やり直すことができるなら、その覚悟だってしれたもの……と思われるカモですけれど、読んでいてわたしはそうは感じなかったかなー。
 先述したようにバッドエンドを迎えてしまったときの喪失感を丁寧に描いているので。
 悔しさや無念さが、ね……。


 とにかく、そうした超常的な能力を巧みに物語へフィードバックして、見事な新感覚の推理ミステリを構築していると思うのですよ~。



 そして青春小説としても嬉しくなってしまうったら!

 前巻では幼馴染みを救うために必死になった主人公。
 もちろんその幼馴染みとの関係も少しずつ前向きに変化しているみたいなのですが、今回はなんといっても渦中の先輩がががが!!!!
「向こうが牽制ならこちらは先制です。どうぞ、受け取って下さい」
 まさか、ここで、宣戦布告ですか!
 参戦ですか!(≧▽≦)

 しかしオンナノコたちのそんな覚悟も、鈍感さと自分のことに手一杯な状況の主人公の前には功を成さず(笑)。
 ダメだコイツ、早くなんとかしないと……。



 乗り越えなければならない相手、気にしてくれる異性、自分が持つ能力の意味。
 舞台がそろってきた感があります。
 次巻が楽しみ~!




 家族に緊急事態が発生して初めて自分がうぬぼれていたことに気付いたフリーターが、そこから家族のために一念発起して立派な社会人を目指すお話。

 社会の既定路線からいちど外れてしまった人間が再起を図るには、日本社会はいかに難しいのかという……話だけじゃないわなぁ(^_^;)。
 もちろん社会のシステムがそうであるという面は否定できませんけれど、しかし問題の根底は増長し肥大した自尊心と周囲の気配を察しない鈍感さという個人に帰結していると思うので。
 それはもう愚鈍って「悪」なんじゃないかって言っていいくらいかも。


 だけれども、そうした愚かな部分が満載である主人公だったからこそ、底辺からの這い上がりが物語になるワケで。
 わたし自身も「自尊心と愚鈍さ」を併せ持つ人間なだけにグサグサときたわー。
 それでも主人公である誠次は這い上がっていったのですよねぇ……。

 これは……自分との差を考えてしまうと、ちょっとツライお話だったかなぁ(T▽T)。
 当初は親近感を覚える方向で気恥ずかしい主人公なのですけれど、その後の展開では自分には追いつけない速さで成長していく姿を見せつけられる気まずさで見ていられないカンジっちうかー、ちうかーっ!!!

 生まれが違うヒーローなら憧れの対象になり得るのですけれど。
 こうまでスタート位置に差が無いと、憧れを通り越しちゃって眩しくて見ていられませんよ……(TДT)。


 まぁ、有川センセはべつにお説教じみた目的で今作を上梓されたワケではないでしょうけれど。
 でもフィクションとして生き方の可能性をひとつ示されてしまうと、どうにも我が身を振り返らざるを得ないのですよねー。
 いや、もう、こんなことを言っている時点で立ち止まっちゃっている感が全開なのですけれど!

 わかってるんよ? わかってるんよ!!!(><)



 そんな次第で彼の生き方に考えるところが大きかったので、中盤以降の正社員へクラスチェンジした話や仕事で活躍していく話は、なんとなーくオマケ感を覚えてしまったのでした。
 そこで仕掛けられた展開の妙とか、飛躍するための着想などは有川センセらしい視点のモノで楽しいとは感じてましたけど!


 嫌味な言い方をすれば「フリーター状態では家を変えていない」のですからタイトルに偽りあとも言えるワケで(これは重箱のスミだとわかってますけどー)。


 ダメだった自分を脱してからの、いわゆる成功譚ってさぁ……なんか、こう、遠い人に感じてしまって(苦笑)。
 「へー、そうなんですか。すごいですねー」って考えてしまったところが無かったとは言わないですよ! ええ!
 ……どんだけ卑屈なんだ自分(T▽T)。



 そして有川センセといえばベタ甘ラブですが(笑)。
 ラブ分もねぇ……。
 有川センセにしては濃度低いですし、そういう点からもちょっと……なカンジだったかも。
 日経新聞の書評で「恋愛要素も面白い」みたいな書き方をされていて、有川センセはそっちが主題だろ!とか思ったのですけれど今作においてはスパイス程度の味付けしかされていなかったワケですしー。
 いつもの通りを期待していたら、少し物足りなかったっちう(^_^;)。


 良い作品ですし面白いと思いましたけれど、好きになるには難しい作品でした。
 読み手個人が置かれている環境に感想が左右されそうな作品だと思います(^_^;)。
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