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 立ち止まっていた日常に区切りをつけて、再び前へ歩き出す中学生のお話。

 成長禍で思うようにいかなくなったことにふて腐れて言い訳をしながら毎日を送っていても、それでも好きな女の子のためにはカッコつけたいという男の子ゴコロ!
 たとえそれが初恋だと気付いた瞬間に失恋だと悟ってしまうような恋だったとしても、彼女のためにできることがあるとすれば男の子は涙を隠して頑張れるものなのですね!!
 んもー、なによなによ!!!(≧△≦)


 失恋は残念な結果だったけれど、彼女のことを、そして彼女が好きな相手のことを考えれば、自分が出る幕などないってことをわきまえてみっともなく悪あがきしない潔さがまた。
 それもただ単に彼女のためを思って……とかなんとか言い訳付けて勝手に身を引くんじゃないんですよ?
 気持ちに気付いて、それをきちんと彼女に伝えて決着をつけてるんですよ!
 なんという男らしさかっ!

 (幼馴染みへの)恋心を描く作品は少なくないと思いますけど、それをきちんと失恋という形へ昇華させてる作品はそう多くないのではないかと。
 さらにはその失恋を始まりとして、続く行動へのモチベーションとして描いている作品となればもっと数が少ないように思うのです。

 恋愛は青春の1シーンではあるけれど、青春の全てが恋愛で色付けられているワケではないっちうか。
 恋愛はきっかけのひとつ。
 そのほかに市町村合併で消滅してしまう故郷の名前、高校に上がれば離ればなれになるであろう地元の友達、中学生最後の夏に催されるイベントへたった一度きりの挑戦、そして心にしこりとなっていた過去の出来事との決別……。
 多感な中学生男子の心を揺さぶる事件がこれでもか!ってくらいに溢れている次第。
 それをまとめあげて物語る関口センセには脱帽ですわ~。



 そして全てが終わったところで平穏無事に着地できるかと思わせたところで急転直下な展開ががが!!!
 世界はそんな簡単ではない、優しくはない。
 そうした事実に胸が痛くなります……。

 でも、だからといって立ち止まっているワケにはいかないのです。
 わたしたちはそんな厳しさをはらんだ世界で生きていくしかないわけで。

 だけれどわたしたちはひとりで生きていくワケでもないのです。
 隣には、きっと誰かがいて。
 その誰かもひとりで生きていく厳しさに負けそうになっていて、支えが必要になっているハズなのです。

 そんな誰かの支えに自分がなれたら――。
 そしてその誰かは、また他の誰かの支えになれたら――。
 そうして人のつながりが世界を覆って行けたなら――。
 生きていくにはこの世界は厳しすぎるというのなら、そこに生きるわたしたちが手を取り合うことで優しくすることができるのでは?


 きっとぼくらは欲望を満たすことを覚えるかわりに、いろんなものを見失っていくんじゃないだろうか。
 赤黒く染まった空に、星がまばらに姿を現し始めた。一番星を見損なってしまった。こういう残念さをぼくはいつまで抱えて生きていられるだろう。


 辛いことが少なくない世の中。
 誰もが傷を負いながら生きていくのだけれど。
 その傷に気付く優しさがあれば、少しだけでも世界は良い方向へ変われるのでは?
 そんな可能性を信じられる作品です。

 ホント、関口センセの作品は、チャプターの最後の一文の破壊力がパネェ……。
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 定番、王道……なんとでも言え!ってカンジ。

 退屈で低俗だった日常が、ひとりの異邦人の登場で崩されて。
 周囲に溶け込めず、しかし誇り高く生きていた女の子を前にして男の子が見せた勇気。
 互いの傷を見て見ぬふりをしながら送っていた生温い毎日とは決別して、自分自身のため、彼女のため、正しいと思ったことを迷い無く生きていこうと始めた男の子の行動が、少しだけ世界を美しい方向へ導く物語。


 ひゃー、もうねもうね!
 10代の少年少女たちの簡単でありながら複雑な心境が痛切に描かれているっちうか!
 学校って、もうそこは独立した「社会」なんですよねー。
 だからみながその維持に腐心しているという。

 で、そこへ現れた異邦人たる女の子。
 女の子の美しさと個を押し通す潔癖さが安定していた社会に不和を生み出して、あげく彼女は社会から認められない存在となって。
 そこへ現れるオトコノコ!
 彼女の恋心がきかけだったとしても、なにが正しいのか間違っているのか、最後はそこでの判断が彼を動かすのですよねー。
 カッコイイ!

 正しいことをして非難されるようであれば、それは社会のほうが間違っている。
 もちろんそれだけで全てが許されるものではないでしょうけれど、正しさを信じて行動することは美しくあると思うのです。


 そんな男の子の行為が、かたくなすぎた女の子の心を少しだけ開かせてくれましたし、やがてその行為は波紋のように彼の周りへと広がって。

 卒業までの短い「社会」。
 その全てを変革することはできなかったですし、むしろ男の子はそんな高尚な望みを抱いていたワケではないでしょう。
 男の子が望んだのは、女の子と一緒に歩んでいけること。
 ただそれだけなんですよねー。
 うーわー(≧▽≦)。

 でも、彼の行為は彼と彼女を巡るひと握りの関係者には伝わって、それがきっかけとなって変わることが出来たワケで。
 世界は少しだけ美しく正しく変わることが出来た。
 それは男の子の小さな勇気から始まったことなんです。



 ラストの着地点は収まり良すぎたきらいはあるかも。
 んでも、男の子の勇気から始まった物語は、その勇気に見合うだけのあるべきところへ収まったと思うのです。
 変に斜めに見たような送り手側からの主張も無く、ただ、こうなったら素敵だよねって関口センセの優しさが描かれているようで。

 ハッピーエンド至上主義ではないです。
 そもそも彼らの世界にはまだまだ苦しみや悩みが溢れているのですから。
 それでも彼らは1年前より少しだけ倖せな世界を手に入れた。
 それが嬉しいのです。

 彼らの、そして勇気を出した全ての人に幸いあれ!
 そんな願いを抱いてしまう素敵な作品でした。




 健気で可愛かった!(≧△≦)

 ある日、少年たちの手に届いた赤い風船には、山間に住まう少女からの手紙が付けられていました。
 返事を求める少女に興味を抱いた少年たちは、返事を出すだけではなく彼女に直接会いに行こうと計画を立てますが、そこへ立ちはだかる不可解な事件とオトナの事情。
 世界がどれだけ理不尽な都合で埋められていようとも、それが絶対的に諦める理由にはならないと信じている子どもたちの純粋さ。
 願いを叶えるため、オトナの世界、常識の社会へ挑んでいく、少年たちのひと夏のイニシエーションの物語。


 やー、もう、これは目が覚めました!
 願えば叶うと信じているほど愚かではなく、世界は自分たちを苦しめる幾多の障害の上に成り立っているという悲しさを理解しつつも、それでも貫きたい意志があれば貫くことをためらわない。
 そんな純粋さが行動を点火するのですよねーっ!

 諦めるほうが、あるいは世界の流れに身を任せる方が簡単なのです。
 加えて言うなら、少年たちは「幼い」ことを理由に、「無力さ」を理由に行動することを拒んでも誰も責めたりはできないと思うのです。
 それもひとつの答えであり、当然至極な選択であると。

 でも、彼らは諦めなかった。
 自分たちが持つ「力」を武器に、仲間を助け、閉じ込められた少女に会いに行くことを。
 うっひゃーっ!(≧▽≦)
 なによ、この胸の空く痛快さは!



 たしかになるほど、危機にあって作用する少年たちの「力」は作り手側の都合を反映したモノかも知れませんけれど。
 んでも、こと物語において殊更に便利に使われているわけではなく、むしろその力の範囲と限界を事前に提示して、ここぞというところでその利用範囲を最大限に描写したことに賛辞を送りたいです。
 設定とは、かくあるべきではないかと。



 そして社会の中で子どもの限界を常につぶやいておきながら、いざ物語上最大の難関にぶちあたったときは大人にも限界があるのだと提示する手法がまた……。
 限界を作るのは、子どもだとか大人だとか、そういうコトではないのですね。
 限界を作るのはヒトであり、それを越えるのもまたヒトであるという。
 「願いを叶える強い想い」というものがあるのなら、その限界を超えるときに行動を燃やす燃料になるからそう言われるのでしょう。



 ラストの幕引きも秀逸。
 子どもたちの行く末についてハッキリとした形を記すのではなく、輝かしい可能性を見せて、そして少年たちの変わらぬ友情を描いて終わるという。
 うはー、もうねもうね(T▽T)。


 わたしとしてはこの4人でカップル二組ができればなー……とか思ってしまいますが(穢れた大人脳)。
 ま、そういう未来があってもいいですし、無くてもいいです。
 少年たちの友情は、この夏、たしかにそこにあったのですから!




 1980年代、中国地方に名を馳せた伝説のレディース『製鉄天使』。
 走ることで、暴れることでしか自分を証明できなかった少女の驚愕の一代記。
 ――といっても御存知のとおり『赤朽葉家の伝説』からのスピンオフ作品なんですけれど!

 三代に渡る物語の『赤朽葉』のなかで動乱の時期を支えた毛毬。
 彼女の人生をなぞったように進められていく作品が作中での「あいあん天使!」なワケで、となればもちろん今作も同様な次第。
 それが理由なのか、当然、すごく既視感がありましたー。

 もちろん『赤朽葉』で描かれていること以上に展開は複雑になって、設定や話の幅も大きくなっているのですけれど、しかしそれでもある枠内での限界があったような気がします。
 新鮮味より既視感のほうが勝ってしまっているというか……。


 鉄に愛された少女、現代日本に存在するとは思えない武器屋、夜ごとに積み上げられていく伝説の数々……。
 中二病もかくやといわんばかりの設定や展開は、あの毛毬が編集者と一緒になって「設定はもっと特殊でいい。もっと大胆に好きに描きなさい」とかやりとりしながら作り上げていったのかな~……と思うと、それはそれで今作へとはまた違った感慨がこみ上げてきます(^_^;)。


 そう考えると、今作はあくまで『赤朽葉』のスピンオフ作品であることをふまえて楽しむように作られているのかなー、とか。
 先述の中二病設定とかは、いまの桜庭センセの立ち位置には全く似つかわしくないモノだと思いますし、かといって今作がそうした設定を見逃してくれるような世代向けに作られたとも見えないのですよね。
 今作単体では完成されず、『赤朽葉』の読者に限って向けられた作品なのかなー……と。


 そして対象なのは『赤朽葉』読者というだけでなく80年代を知っている30歳代以降の人ですよねー。
 あの時代の「不良」を知らなければ今作の面白さ、突き抜けかたが感じ取れないと思うー!
 あの頃の不良少女にしてみたら、いまの女子高生の制服なんて下着も同然ですよ(笑)。
 喫茶店のテーブルがゲーム筐体だったなんて信じられないでしょ!?
 そういう時代の香りはいっぱいに放っていましたなぁ……。
 もしかして桜庭センセ、これ書いているときすごく楽しかったんじゃないかとイメージします(^_^;)。


 少女が女へと変わっていく時代を描くあたりは桜庭センセらしいセンスを感じます。
 この世界は綺麗なモノを少しずつ、そして突然に汚してしまう残酷さを持ち合わせているところも。
 しかしそれを否定してどこまでも続く美しさを探して、だけれどもその行為に希望を予感させることも全くない無情さも、嗚呼、いつもの桜庭センセらしいなぁ……。

 えいえんの国を求めた少女たち。

 永遠はあるよ。ここにあるよ。
 そんな言葉を求めてしまいました。



 ところで。
 スピンオフしているのですから当然ですが、もしかしてこれってファンディスク的作品だととらえても良いのでは?
 まぁ、それが認められたとした場合、「FDなのにフルプライスなのはどうよ?」とか言われそうですけれど!(笑)




 幼い頃に母を亡くし、互いに助け合いながら育った三姉妹とその父にまつわるお話。
 姉妹が手の掛からなくなった頃、父が出来ちゃった婚で再婚を果たし、そして生まれてくる年の離れた弟。
 長姉とは4歳しか年の離れていない義母と一緒になってみんなが末の弟の誕生を喜んだのだけれど、そんな弟が二歳になった年、存在すら知らされていなかった伯父が現れ、早坂家の過去と現在に静かにさざ波が立ち始めていく──という。


 や、もう、これはステキだった~。
 家族愛?
 うーん……ま、総じて見ればそうなんですけれど、ドラマとしては三姉妹それぞれの視点から語られる個性の妙っていう部分かな~。

 伯父の口から語られる昔の父母のこと。
 だけれども深くは語ろうとしないので、父と伯父、そして2人に連なる一族のかつての行為が不思議と謎めいてきて……。

 三姉妹の「いま」になにか大きな事件が起こるわけでは無いのだけれど、家族の過去とそこにあった想いを受け止めてみることで物語が回っていくという。
 うーん、すごい。


 三姉妹それぞれのステディも好青年で良い良い(^-^)。
 みながちゃーんと相手のことを大切にしているって感じられるんですよねー。
 そして相手の向こうにいる「家族」のことも。
 自分たちだけが倖せになればいいって考えているのではなく、家族みんなで倖せになろうってつながり。
 そーゆー絆が描かれていて嬉しかった~。



 そんな物語の仕掛け自体は実際のトコロ平凡でありきたりなモノでしかなかったと思うのですが、ガジェットで勝負する作品ではなし問題無し!

 ラストであらためて巻き起こった一波乱が人生の苦味であるし、また物語に後ろ髪を引かれるような読後感っちうか余韻っちうか。
 作品はこれで閉じても、三姉妹の、そして大きくなった家族の物語は続いていくんだなぁ……って感じられる部分。
 良かったわ~。
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